レベッカ・パン(潘迪華)は上海に生まれた歌手です。
1949年に香港へ移住。中国語、広東語、英語、日本語、フランス語、スペイン語で歌えます。
経歴
結婚生活に失敗した後、1957年に歌手デビュー。バンドで数年歌った後にソロシンガーへ。
1962年にリリースした「Ding Dong Song」が大ヒットし、香港の芸能人初のファン・クラブが発足。以後、「Mr. Hong Kong」「Didn’t We?」などのヒット曲を出しました。
この頃、中国人歌手として初めて米国で歌っただけでなく、ヒルトン・ホテル初の専属歌手としてワールド・ツアーに成功。マレーネ・ディートリヒと一緒に舞台で共演もしたのが凄い。
1972年に自ら制作・主演したオペラ「白蛇」も成功。以後、1970年代から1980年代にかけて人気は失速しましたが、ラスベガスなどで歌い続けました。

ウォン・カーウァイ監督「欲望の翼」でのレベッカ・パン(潘迪華) (c) 1990 East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited. All Rights Reserved.
ウォン・カーウァイ作品
ウォン・カーウァイの監督作品で「欲望の翼」「花様年華」に出演しました。
出演2作とも配役相応の風格ある中年女性を演じ、存在感バツグン。世界的な歌手として活躍してきたこともあって、会話の展開が一方通行でも上手いです。
欲望の翼
「欲望の翼」で女優賞をいくつかゲット。マギー・チャン、カリーナ・ラウ、アンディ・ラウらは、マゾヒスティックに破滅へ向かおうとするレスリー・チャンに手をこまねきましたが、ここはさすがに母役、息子に世話ばかりかけさせました。
また、レスリーの出生の秘密について話をするとき、彼とレストランで向かいあい、レスリーにはほとんど喋らせず自分一人で喋り続ける場面があります。息子顔負けの自己中心的な義母を演技です。音楽に幅広く精通しているレベッカ・パンは、この映画で流れているザビア・クガートのラテン音楽をウォン・カーウァイに紹介しました。
花様年華
「花様年華」ではトニー・レオンやマギー・チャンらと同じアパートで暮らし、マギーに自堕落寸前の生活を誠意をもって律したシーンが印象的。
この映画には、彼女が18歳の時に英語で録音したインドネシアのフォークソング「ブンガワン・ソロ」が短く挿入されています(サウンドトラックには全体を収録)。

レベッカ・パン(潘迪華) (c) 2000 by Block2Pictures Inc.
上の画像は、ウォン・カーウァイ監督の映画「花様年華」の上映記念会で、インタビューに応じて1960年代香港の旗袍の様子を話している場面です。
なお、ウォン・カーウァイがプロデュースした「天下無雙」(2002年/日本未公開)でも、兄チャン・チェン、妹フェイ・ウォンの二人を子供にもつ宮廷の女王を演じました。いつもの迫力ある厳格な「おばさま」の勢いで、トニー・レオンへの禁じられた愛に傷つくフェイ・ウォンを気が触れるまで追い込みました。
コメント